巻き爪はどの科目に受診すればよいか迷う病気です。当院では保険適応内でフェノール法による治療を行っております。治療の所要時間は約30分です。(1爪1側あたり)治療後の通院は翌日のみです。入浴は翌日から可能です。根本的な治療ですので再発率は数%です。随時受け付けておりますので、詳しくは外来窓口でお尋ね下さい。
爪は、指先(先端)にかかる負荷を軽減するために発達してきた器官です。そのため、外部からの圧力に抵抗するようにプログラミングされています。正常な爪の両脇がほぼ平らなのは、指先(先端)に適度な力が加わっているからと考えられています。人によって爪の両脇は下向きにある程度は湾曲しています。湾曲の程度は人それぞれですが、湾曲が強いと巻き爪になりやすくなります。
巻き爪とは、爪の横端が下に丸まって爪の下の組織を挟みこむようになったものです。爪本来の湾曲が非常に高度になっている状態です。巻き爪が原因の爪周囲炎(ひょうそう)は爪の脇の部分が自分自身の“肉”に突き刺さり,そこから細菌感染して化膿してくる病気です。進行すると不良肉芽と呼ばれる瘤状の組織が盛り上がって出血したり,悪臭を放つようになります。原因の一つは爪の切り方を誤って“深爪”して脇の部分が残ってしまうことです。それが爪の伸長に伴って
棘のように突き刺さり発症します。
1.最も多い原因は、窮屈な靴を履くことです。窮屈な靴を履いていると、爪に(本来は無い)横からの圧力がかかり、圧力に抵抗しようとするプログラムが作動して、長い年月が経つうちに爪の横が下向きに曲がってきます。 パンプスなどの先が細い靴は、足が両脇から圧迫されて指先に力が入りにくいので、長く履き続ければ爪が巻いてきます。
2. もう一つの原因は、爪水虫などの爪の病気です。爪の水虫などでは爪の下の皮膚が厚くなり、爪を下から押し上げることにより巻き爪が生じてきます。このようなケースは年配の方に多く見受けられます。巻き爪の治療の前に爪水虫(白癬)の治療が優先されます。
3. また深爪をすると、歩いた時の圧力で爪の中央が持ち上がり、爪の両脇が指に食い込みます。痛くて爪の角を切ると、爪の角が見えない深さで切り残し(トゲ)となり、一層、爪が巻いたり、細菌感染したりすると考えられています。爪切りの習慣を直す必要があります。
4. 稀ですが、足を強く打って足の指が腫れると爪を圧迫して巻き爪になることがあります。サッカーや山歩きなどで、爪の下に血液がたまる爪下血腫がきっかけで爪が巻くこともあります。
爪は、先端の白い部分を1ミリほど残して横にまっすぐに切ります。こうすると、爪の両端が支えとなり、爪の食い込みを予防します。爪の角が露出することで指の肉を傷つけることも無くなります。窮屈な靴は、頭痛や高血圧などの原因になることがあります。ですから、歩くときは、締めつけの少ない、足にやさしい靴を履き、パーティー用のハイヒールなら会場に着いてから履き替えるなど、足に負担をかけないように靴を使い分けることが大切です。くれぐれも先の細い靴を長い間履き続けることは避けましょう。
巻き爪は、症状によっては痛まないので、そのまま放置している人が多いと思います。しかし、症状がひどくなると痛みが強くなったり、炎症を起こして膿んだりします。そうなると、足をかばって歩くようになるため、ひざや腰を痛めてしまうことにもなりかねません。「病院へ行くほどの病気じゃないから」などと、甘くみるのは禁物です。
巻き込みが約60度以上になると軽い運動でも痛み、自然には治らなくなります。そのような場合は、手術が必要です。フェノール手術では、爪の湾曲している部分の幅約3mmくらいを取り除き、更に爪が生えなくします。そうすれば残った爪は平らになり皮膚に食い込まなくなるという考え方です。具体的な方法は、局所麻酔で指全体に麻酔をかけた後、湾曲している爪の部分を根元から丁寧に除去します。そうすると根元に爪をつくっている爪母といわれる部分が露出します。そこをフェノールという薬で処理して組織を破壊して爪を生えなくするのです。フェノールは神経も破壊するので麻酔が切れた後もあまり痛みを感じない利点もあります。手術にかかる時間は30分程度です。即効性はありますが、爪の大きさはある程度、小さくなります。当院では翌日に出血の有無を診させていただき通院終了となります。
爪矯正は、爪の2か所に穴を開けてワイヤーを入れたり、プレートを接着します。ワイヤーは1~2か月ごとに入れ替え、爪の湾曲を矯正するというものです。当初、爪はワイヤーやプレートの力で少し浮くために痛みが改善しますが、最終的に湾曲自体を長期間にわたって矯正するほどの効果は低いようです。それに治療期間が長く健康保険が使えないため、自費診療になりますので費用も高額になってしまうという欠点があります。(当院では採用しておりません)
テーピング法は根本的に巻き爪を直す方法ではありません。しかし、美容上の問題はあっても痛みや感染が防げればよいという考え方に立ち、爪を伸ばすことで巻いたままの状態で爪が伸び、指の肉に突き刺さる巻き爪のトゲ状の角が指の先端から先に出れば、角の部分が最終的には皮膚に当たらなくなるので目的を達したことになります。トゲ状の角が出るまでは我慢しなければならないのが欠点です。また、軽症のうちならピンセットで米粒大のコットンを爪の角と肉の間に挟めば悪化を防げます。
日常生活に支障を来たすようであれば、食い込んでいる爪の角の部分を切り落として、巻き爪のトゲ状の角を深爪します。(保険適応)ただこの治療は問題の先送りをしているだけなので、約3ヶ月経過すると同じ状態になってしまいます。治療方針を冷静に選択するための執行猶予と考えましょう。
1. 爪は入浴後の湿った状態で切りましょう。乾いた状態で爪を切るとひび割れなどのトラブルの原因になります。
2. 爪は横一線にまっすぐに切りましょう。両側の爪の角の部分が指の皮膚よりも短くならないようにします。最後に爪の角をやすりで軽く整えて仕上がりです。爪を丸く切ったり深爪をすると巻き爪の原因になります。爪やすりは「ささくれ」にならないように外側から爪中央に向けて1方向で行いましょう。
3. 爪の長さは、下図のように足の指に垂直に物を当てた時に爪が当たるか当たらないか位にします。