区民健診/企業健診/特定健診
ピロリ菌の除菌治療
|
||||
~胃がん予防としてのピロリ菌の検査、除菌治療~
1)ピロリ菌とは何者でしょう。ヘリコバクター・ピロリは世界人口の過半数に感染していると考えられています。感染経路は糞-口感染、経口感染と考えられています。ヘリコバクター・ピロリは胃粘膜に生息するグラム陰性桿菌で強力なウレアーゼ活性を有し、胃粘膜傷害が引き起こされ、胃・十二指腸潰瘍の原因、果ては胃癌を引き起こします。一度潰瘍になった人が潰瘍を何回も繰り返すのは、ピロリ菌が、一度胃の中に入り込むとそのままずっと胃粘膜の中で生き続けるためで、今までは主に潰瘍の再発予防のためにピロリ菌の除菌が積極的に実施されてきました。しかし最近になって、胃癌の発生に大きく影響していることが判明し、日本人の胃癌予防で大変注目されています。
2)ピロリ菌の検査方法
|
(a)胃カメラ(内視鏡)を用い直接胃を調べる方法
1.迅速ウレアーゼ試験 ・・ pHにより色が変わる特殊な試薬に組織を入れ、色の変化にてピロリ菌有無が判定できます。
2.組織学的検査・・ 採取した組織をホルマリン固定した後に染色して、顕微鏡でピロリ菌の有無を調べます。
3.培養法・・ 採取した組織を培養してピロリ菌の有無を直接調べます。直接ピロリ菌を調べる培養法がもっとも正確な方法ですが、結果が出るまでに1週間ほど時間がかかることが欠点です。
(b)胃カメラを使わず、血液、息、便から間接的にピロリ菌を調べる方法
1.尿素呼気試験・・ 診断薬を内服した後に、風船をふくらませ、風船の中の呼気の成分をしらべる事により、ピロリ菌有無が判定できます。
2.血清抗体価検査 ・・ ピロリ菌が胃に感染すると、体は菌に対抗するために抗体と呼ばれる免疫物質をつくります。ピロリ菌に対する抗体の有無を血液でしらべます。(この検査法は内視鏡検査を必要とせず、血液や尿を採取するだけなので非常に簡便な方法ですが、除菌療法後抗体価が低下するのに時間がかかるため、除菌判定には6ヶ月以上の長期間を要します。) → 当院採用
3. 便中ピロリ菌抗原検査 ・・ ピロリ菌は胃粘膜に感染する菌ですが、菌の一部は胃から落下して便にまざります。便の中にピロリ菌の成分が混入しているかによりピロリ菌有無が判定できます。
|
*当院では、患者様にご負担をかけず、且つ検査の信頼度の高い血清抗体法を採用しております。
(c)除菌方法
1.治療は抗潰瘍薬(プロトンポンプ・インヒビター)アモキシシリン(AMPC)、クラリスロマイシン(CAM)の3剤を1日朝、夕食後2回内服し、1週間内服します。
2. 除菌判定は除菌終了後6ヶ月以上経過した後、再度、血清抗体価検査で判定を行います。除菌成功率は約70%です。
3. 前述の薬剤で除菌されない患者さんは違う薬剤を用いて再度1週間内服します。(最近ではCAM耐性菌が増加しております)
4. ペニシリン(アモキシシリン)アレルギーのある患者さんは前述の治療は出来ませんのでアモキシシリンに代わってメトロニダゾール(MNZ)を使用します。
5. 除菌療法の副作用は下痢・軟便・皮疹・味覚異常・食欲不振・舌炎・などがありますが、頻度は少ないです。
*保険適応疾患 ①胃潰瘍・十二指腸潰瘍 (これ以外は自由診療)
*除菌治療が推奨される疾患 ①胃潰瘍・十二指腸潰瘍 ②胃MALTリンパ腫 ③特発性血小板減少症 ④萎縮性胃炎 ⑤胃過形成ポリープ ⑥逆流性食道炎 ⑦鉄欠乏性貧血 ⑧慢性蕁麻疹 ⑨機能性ディスペプシア ⑩早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃
(d)除菌方法
胃ガンの予防目的でのピロリ菌治療は健康保険外の最新治療で、自費となりますのでご留意下さい。詳しくは担当者までお尋ねください。
|
~検査から治療・確認までの流れ~
|
|
ヘリコバクター・ピロリ感染検査
|
|
↓
|
|
ヘリコバクター・ピロリ除菌治療
|
|
↓
|
|
ヘリコバクター・ピロリ除菌確認検査 (治療後6ヶ月)
|
|
ピロリ菌+たばこ、胃がんリスク11倍
|
|
2009年4月7日 読売新聞 九大調査
|
胃の粘膜に細菌ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)がいると、胃がんになるリスクが高まる。特にたばこを吸っていると、そのリスクが跳ね上がることが、九州大グループによる福岡県久山町の住民の長期追跡調査でわかった。ピロリ菌感染がなく、喫煙もしない人と比べると、胃がんリスクは11倍になるという。 88年に健康状態や生活習慣を調べた40歳以上の男性約1千人のその後を02年まで追跡した。全体の半数が喫煙者で、77%にピロリ菌がいた。 調査期間中に胃がんになったと確認されたのは68人で、内訳はピロリ菌感染・喫煙者が411人中37人、ピロリ菌感染・非喫煙者が412人中24人、ピロリ菌非感染・喫煙者が121人中6人、ピロリ菌非感染・非喫煙者が126人中1人だった。 塩分摂取量の多少や胃腸の潰瘍(かいよう)にかかった経験の有無、年齢など、胃がんの発症に関係しそうな要素の影響を除いて、胃がんリスクを計算すると、ピロリ菌感染者は非感染者の2.7倍。喫煙者は非喫煙者の1.8倍だった。 さらにピロリ菌感染と喫煙の有無で四つのグループに分けて検討すると、最もリスクが低い「ピロリ菌非感染で、たばこも吸わない」人と比べ、非感染の喫煙者は5.8倍、喫煙しない感染者は6.9倍。感染と喫煙が重なると11.4倍だった。ピロリ菌で胃が傷むのに加え、たばこの発がん物質にさらされる影響が大きいらしい。日本では40代以上の男性の7割、女性の6割ほどがピロリ菌に感染しているといわれ、年間約10万人が新たに胃がんと診断されている。除菌が有効とみられているが、公的な医療保険が使えるのは胃潰瘍などの患者に限られている。 研究の中心になった清原裕教授は「除菌は胃がん予防の大きな手段だが、ピロリ菌だけが胃がんを起こすわけではない。除菌をする人にはまず禁煙が必要だ」といっている。



